従来の培養細胞より増殖の良好な新しく樹立された胞状奇胎由来培養細胞(BM-72)の各種発癌プロモーターによる悪性転換(癌化)を二重軟寒天中でのコロニー形成能、スキットマウス系での腫瘍形成能を指標にして調べ、さらに、発癌プロモーター処置のどの時点で、どんな遺伝子の変化が起きるのであろうかをRT-PCR-differential display法を使用して腫瘍形成能を生じたプロモーター処理細胞と無処理の差異から異常部分のゲノムの検出、単離、同定をする。今年度の研究実績はBM-72細胞のSCIDマウスへの移植では無処理の細胞でも充実性の腫瘤を形成した。初代は、いずれも、約4ヶ月目に1.5x1.0x0.7cmの大きさの腫瘤を形成し、肺転移も認めた。2-3代目までは4週以内に同大の腫瘤を形成し代が進むにつれてプロモーター処理群の方が未処理群より腫瘤形成速度が早かった。 最近では、サイトカインの一種であるTNF-αが自然界に存在する発癌プロモーターとして脚光を浴びているので、我々もTNF-αで細胞を処理し、実験を施行している。(二重軟寒天コロニー形成能、SCIDマウスへの移植、遺伝子分析など)それから、移植実験において腫瘤形成をみた発癌プロモーター(TPA)処理細胞のRT-PCR-differential display実験でmRNAの抽出に種々の方法を試みたが、現在では、Dynabeads Oligo (dT)_<25>から得たmRNAを用い、ランダムプライマー使用したPCR後、differential displayを施行した。発癌プロモーター、TPA処理細胞と無処理細胞との間に差が見られた。
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