研究課題/領域番号 |
07671887
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
富山 俊一 日本医科大学, 医学部, 助教授 (00094665)
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研究分担者 |
池園 哲郎 日本医科大学, 医学部, 助手 (80277491)
陣内 賢 日本医科大学, 医学部, 助手 (00281428)
パワンカール ルビー 日本医科大学, 医学部, 講師 (00287674)
野中 学 日本医科大学, 医学部, 講師 (70271351)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 内耳 / 内リンパ嚢 / ICMA-1 / IFN-γ / エンドセリン-1 / 自己免疫 / 細胞性免疫 / ウエスタンブロット |
研究概要 |
メニエール病の免疫傷害病因解明の目的で以下の2つの基礎的研究を行なった。 1)異物抗原に対する内耳免疫傷害:本研究者等が開発した内リンパ嚢局所免疫反応による内耳傷害モデルを用いて、内耳免疫現象、内耳機能傷害、内耳形態変化、内耳微小環境変化の解析を行なった。内リンパ嚢への抗原刺激にてIFN-γが産生放出され、内耳全域にこれらの炎症性サイトカインの拡散がおこる結果、内リンパ嚢、蝸牛前庭の血管内皮細胞、線維芽細胞の接着分子ICAM-1が発現し、内耳全域が免疫反応に巻き込まれることが示唆された。形態機能変化として、蝸牛前庭への免疫担当細胞の遊走、内リンパ水腫形成、聴覚閾値上昇、自発眼振出現の所見が内リンパ嚢への抗原刺激後、12時間目から24時間目までに発生した。内リンパ嚢は内耳免疫防御の中枢的役割と同時に内耳免疫傷害起因となることが示唆された。多様な薬理作用をもつエンドセリン-1(ET-1)の内耳分布を検索した結果、内耳の水、電解質代謝ならびに神経伝達の領域にET-1の活性を認めた。内リンパ嚢免疫傷害モデルでの12時間目から24時間目までの期間、内リンパ嚢上皮細胞のET-1活性が消失する一方、蝸牛前庭ではET-1活性の増強が見られた。内耳免疫反応による微小環境変化とET-1機能との関連が示唆された。 2)内耳自己抗原による内耳免疫傷害:内耳抗原として牛内耳膜迷路組織を採取し、C57BL/6マウスでモデル作製を検討した。牛内耳粗抗原、並びにSDS可溶性抗原と完全アジュバントとの単回全身皮下感作の結果、リンパ球、多核球などの細胞の内耳遊走浸潤が主として外リンパ腔領域に起こり、またラセン神経節細胞変性が発生した。他臓器並びに対照では著変なかった。これまでマウスを用いた同様の研究報告は無い。次いで人内耳疾患患者血清には牛内耳SDS可溶性抗原と反応する数種のバンドの存在がwestern blot法にて確認された。今後、抗原特異性など多くの解明すべき課題が残されている。
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