研究概要 |
DA(RT1a)からPVG(RT1c)への異所性小腸移植モデルを用いて、移植片からグラフト浸潤細胞を採取しフロー・サイトメトリーを用いたphenotypeの解析を行った。(結果)拒絶モデルにおいて移植後5日目、粘膜固有層細胞(LPL)の55±11%はレシピエント由来の細胞であった。このLPL中のレシピエント由来細胞のphenotypeは、TcRαβ^+:57±15%(50±6%:対照同系移植群),CD4^+:38±9%(41±3%),CD8α^+:38±10%(8±5%),CD8β^+:31±1%(4±1%),CD45^+:46±12%(42±14%),NK:24±2%(0±0%)であった。各サブセットにおけるCD25(IL-2R)発現率を解析すると、CD25^+・TcRαβ^+/TcRαβ^+:46±7%(42±1%),CD25^+・CD4^+/CD4^+:57±8%(43±5%),CD25^+・CD8α^+/CD8α^+:32±12%(57±3%),CD25^+・CD8β^+/CD8β^+:64±35%(52±4%),CD25^+・CD45^+/CD45^+:64±35%(52±4%)であった。一方ドナー由来細胞のphenotypeは、TcRαβ^+:82±6%(55±3%:対照同系移植群),CD4^+:68±8%(47±8%),CD8α^+:22±6%(19±7%),CD8β^+:12±2%(5±1%),CD45^+:6±5%(31±5%)であり、各サブセットにおけるCD25(IL-2R)発現率はいずれも80-90%と高率であった。 (結語)アロ拒絶反応においてレシピエント由来のCD8αβ^+およびNK細胞がエフェクター細胞として重要な働きを果たしていることが明らかとなった。 (研究計画)現在FK506投与群でグラフト浸潤細胞の解析を行っている。またT細胞系を抑制するFK506投与のみでは拒絶反応を制御することは困難であり、T細胞系と同時にB細胞系を抑制することが必要と考えられるため,B細胞系の抑制を試みることを考慮している。
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