研究課題
基盤研究(C)
平成8年度は抽出されたカテゴリーの関連を各対象別(急性期患者、終末期患者、回復期患者、高齢者)に図示し、概念枠組みを作成することを目的とした。方法は、まず文献検索により褥創発生要因について検索し、褥創発生例のレトロスペクティブな調査を行い、褥創発生要因の変化とその関連性をみた。対象は、1993年から1996年の3年間に医学部附属病院(1)、総合病院(1)、老人病院(2)で褥創が発生し、研究者が直接観察した患者193名の看護記録、診療記録である。方法は、事例ごとに褥創発生の経過を記述することにより、その要因の関係を時系列に並べた。その手順は、文献検索により抽出された要因に対して、対象がほとんどベッド上での生活になった時から、褥創の発生までの要因のシーケンスオブイベンツを経時的に描いていった。分析は、徐々に現れる要因と急激に現れる要因を事例ごとに分類し、その要因に共通するカテゴリーを抽出した。その結果、術後、終末期、急性期、回復期、高齢者において、特徴的な褥創発生要因があり、健康障害のレベル別の予測が必要であることが示唆された。共通にみられる要因として発生磁気に注目すると、栄養状態低下による組織脆弱性や、痛み、意識障害、麻痺による臥床と痩せによる骨突起部位の荷重などの徐々に現れる要因(プレステージ要因)と、血圧低下、呼吸困難、浮腫による末梢循環不全、また下痢や尿漏れ、発汗による皮膚の湿潤、挿管、痛み、呼吸困難による体位変換困難などの急激に現れる要因(トリガー要因)に分けられた。さらに、トリガー要因でも、急激な身体状態の変化(アタック)と、ケアの方法(強度湿潤、強制体位によるずれ、ケアの変更)があることが明らかになった。
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