研究概要 |
本研究は,マイクロ操作に基づいた実習指導を行うことで,ソフトウェアの命令の実行によって起こるハードウェア内のデータの流れや論理演算の状態の変化につて,実質的な理解を図る。結果として,ソフトウェアとハードウェアの関連の学習指導効果を向上することを目的とする。 このため,(1)マイクロ操作に基づいた実習指導システムを作成し,(2)実習指導に用いる教具やコンピュータシミュレータを作成し,(3)作成したシステムを実際に授業で試行して,マイクロ操作や教具による学習の効果を定性的・定量的に検証する。 本年度は,(1)と(2)の実施に先立って, (1)について,マイクロ操作に基づいたハードウェアとソフトウェアの関連に関する実習指導システムを作成し,学部段階の初心者を対象に予備実験授業を行った。 (2)について,上記の予備実験授業の経過や結果を考慮に入れ,実習指導を効果的に支援するためのコンピュータシミュレータの機能の検討と,教材の一部を試作した。 コンピュータシミュレータと教材の作成作業の過程で,学習者の実態や実習指導上の問題点を把握する必要に迫られた。このため,平成7年度は予備実験授業を先行して行った。予備実験授業では,入力・出力要素,及び演算要素を取り上げ,シミュレータ上でデータの流れと命令の実行の関係をマイクロ操作の水準で実習させた。 その結果,コンピュータの入出力の機能とマイクロ操作,低水準・高水準言語の命令間の関連について,マイクロ操作を先行した群は後続した群よりも有意に高い学習効果が得られた。 以上の試行結果から,初心者を対象とした場合,特に実感を伴った実習が必要であり,このためハードウェアによる具体的なモデルが必要であると判断した。そこで8年度は,これに対する対応を念頭に,(1)から(3)を実施したい。
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