西日本2府20県の全中学校に「校歌に関する調査票」を郵送し、各県とも約70%の回答を得た。 平成7年度には、九州地方各県の調査票を整理して、歌詞に含まれている環境要素(山地、河川、平野、海洋、気候、動植物、産業・交通、歴史的背景)を取り出し、報告書『中学校校歌研究-九州-』をまとめた(別冊)。その内容は「九州各県の校歌にうたわれている風土と歴史」である。 まず、環境要素別校歌数をみると、一般に、山地が最も多く取上げられ、河川がそれに次ぐが、長崎県と沖縄県は海洋が最も多く、環境要素別校歌数の総回答数に対する割合には、各県の自然環境の相違が反映している。 山地では脊振山・英彦山・雲仙岳・阿蘇山・霧島山・高千穂峰などが多くの校歌に取り上げられており、校歌にうたわれてる山地は山岳信仰との関係が深い。河川では筑後川・大淀川などが多くの校歌に取り上げられている。福岡・佐賀両県のカチガラス、佐賀県のハゼノキ、沖縄県のデイゴなど、各県の特徴ある動植物も、歌詞に取り上げられている。それぞれの自然環境には、各校の教育目標が託されている。 校歌詞に取り上げられている歴史的事象から、各県の歴史を知ることができる。歴史を顧みて、郷土への誇り、先人への尊敬、新しい歴史をつくるための勉学の努力などの教育目標が、校歌にはうたいこまれている。 平成8年度以降には中国・四国地方、近畿地方の校歌について考察し、報告書を作成する所存である。
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