本年度は、コンパクト多様体上の余次元1葉層の定性的理論をC^2級より弱い微分可能性で試みることを行った。本年度の成果としては、本研究代表者は横断的に区分滑らかな葉層S^1-束についてはC^2級の場合と同じ定性的構造をもつという結果を得た。 具体的にはつぎのようになる。コンパクト多様体上の横断的に区分滑らか(区分C^<1+bv>級)な葉層S^1-束を与えたとする。このとき以下の事柄が成立する。 (1)葉層充満開集合はその集合における極小集合を含む。 (2)全真葉は有限レベルにあり、その葉の増大度はちょうどレベル次数の多項式の増大度に等しい。 (3)各局所極小集合は有限レベルにある。 (4)例外型局所極小集合は弾性葉を含む。 (5)有限レベルの葉の和集合は多様体においてちょう密である。 (6)無限レベルにある葉に関する幾つかの性質(略)が成立する。 (7)葉層の拡大度は葉のレベルと弾性葉の有無によって決定できる。 (8)葉層のエントロピーが正であることと弾性葉が存在することは同値である。 しかし、区分C^<1+bv>級より弱い微分可能性での定性的構造やGV不変量と定性論の関係等について今後の研究課題として残された。
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