※測量調査・発掘調査 ○岡山県北部の津山盆地では、東部に偏って前方後円墳が分布しており、わずかに知られる副葬品や立地条件などから、これらの墳丘に関する情報の整理が重要であると判断した。そこで、平成7年度は勝田郡勝央町に所在する岡高塚古墳と美野中塚古墳の測量調査を立案し、町教育委員会の協力を得て平成7年12月15日〜31日にこれを実施した。いずれも墳長55mほどの前方後円墳で、竪穴式石槨が開口していた岡高塚古墳では、石槨の構築状況を観察し一部を実測した。なお、美野中塚古墳の測量調査時の観察から、これに西接し従来は円墳と考えられていた西宮古墳は、墳長40mの前方後方墳である可能性が大きくなった。 ○美作地方の東西における前方後円(方)墳の営造状況を具体的に比較検討するために、西端の旭川流域に位置する川東車塚古墳(真庭郡落合町)の発掘調査計画を立て、町教育委員会に協力を得て平成8年の3月8日から3週間の予定でこれを実施する。 ※資料分析 ○本年度の設備備品費で、パーソナルコンピュータPC-9821Xa7を購入し、グラフィックデジタイザーKW4600を用いるドットパターンのデータ化および分析を行う研究環境を整え、津山盆地における分布状況の指数化を試みた。 ○美作地方を中心に、現有情報による墳丘築造企画の比較検討を行い、系列関係のモデル案をいくつか設定した。その結果、吉井川・旭川など水系を基軸とした南北の関係と共に、中国山地を東西に貫く津山盆地を舞台としたヨコの関係も念頭に置くべきことが判った。 ○墳丘の築造企画の関係連鎖に関しては、比較対象地として前方後円墳の営造数が最も多い房総を選び、通時的な分析を行った。時期的、地域的特色を明らかにしつつ類型化をはかる上で、ひとつの目安となろう。
|