1.墳丘測定調査 平成9年度は、これまでの調査研究成果の整理作業および研究報告書の作成を予定していたが、美作地方中央部の前方後円墳の一例として、久米郡久米町に所在する奥の前1号墳(油木高塚古墳)の墳丘測量調査を行う機会を得て平成9年12月18日〜29日にこれを実施した。 奥の前1号墳は、平野側から見えない後円部後端側では手抜きして築造されており、築造企画上の墳長を復元すると70m前後となる。これまでに副葬品の一部が知られていたが、今回の調査で埴輪片を採集し、美作地方における埴輪祭祀のあり方を考える重要な手がかりを得ることができた。 2.研究報告書の作成 平成9年度は、本研究の最終年度にあたるため、これまでの調査研究成果をまとめる作業を行った。本研究では、前方後円墳1基の発掘調査、3基の前方後円墳および5基の前方後方墳の墳丘測量調査を行った。また、岡高塚古墳の竪穴式石槨の実測および採集遺物の資料調査も実施した。研究報告書には、これらの成果を収めるとともに、今後の展開を視野に入れた仮説の提示を試みた。
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