研究概要 |
新しい学際領域として近年生まれた「情報文化」の学問的基礎確立を目的とする本研究は、以下の各アプローチにより、情報と文化との融合としての具体的形のいくつかを浮き彫りにすることに成功した。 (1)「情報文化」の構成を明らかにすること。 情報文化の持つ内容を、自然化学的見地から大別すると、筆者の提唱する「コンピュータと文化」と「情報と文化」となることが再確認された。 (2)ド-キンスの「ミ-ム」についての概念の「情報文化」に対する有効性を示すこと。 人工生命のシミュレーションの手法を適用し、「ミ-ム」をコンピュータ上で進化させ、その振る舞いを観察した。その結果、研究途上ではあるが、文化現象としての振る舞いをミクロ的に解き明かしていくことの有効性が一部検証された。例えば、現代文化が、これまでの人類史上の文化には見られない幾つかの特徴を有していることが示された。それらは「極めて文化進化が早いこと」および「文化進化が点在すること」である。 (3)「情報」と「文化」の共通項を見出すこと。 「文化」と「情報」の共通項は「現下論」およぼ「記号論」であるという考えに立ち、言語論または記号論からのアプローチによって「文化」の情報科学的解釈を構築しようとしているが、コレハ現在研究中である。 (4)「情報文化」的教育とは何かについての知見をえること。 立大正大学において,画像情報ネットワークを利用した独創性・創造性育成教育を実施した。その結果,自分の「文化」と情報処理とを結び付けようとする行為が履修学生の間に観られた。この力こそ,「情報部文化の芽生え」にほかならないと思量される。
|