ヒトCdk9とCyclin T1タンパク質に関してクローニングおよび発現条件の検討を行った。Cdk9については、大腸菌で発現させると、大量に発現したが可溶化率が非常に低く、収量が少なかった。コンピテントセル、発現の誘導条件(温度、IPTG濃度及び時間)、添加物など、パラメーターの改良を続けたところ、コンピテントセルはTG1、温度は15℃、IPTG濃度はO.1mMで、発現誘導を20時間、細胞の破砕に1%Triton X-100を加えることで、十分な量のCdk9タンパク質を可溶性画分に得ることができた。またCyclin T1についても、発現条件の検討を行ったところ、低温条件で培養することで可溶化したタンパク質を大量に発現させることに成功した。 並行して、Cyclin T1タンパク質と相互作用し、Cdk9のキナーゼ活性を抑制するヒトHEXIM1タンパク質の発現系とヒト7SK RNA転写系を構築した。HEXIM1タンパク質については、GST融合タンパク質を結晶化に適した純度の精製標品として大量に調製することに成功した。結晶化条件検討の結果、微結晶を得た。今後、X線回折実験に適した単結晶を得るために条件の検討を引き続き行う。また7SK RNAについても、T7 RNAポリメラーゼによる転写系を構築し、結晶化に適した純度の精製標品として大量に調製することに成功した。
|