研究概要 |
1.東アフリカの多言語・多民族国家のなかでも、特にケニア海岸地方,タンザニア海岸地方及び内陸部,ウガンダの首都カンパラ周辺で集中的な言語調査(聞き取り、参考観察等)と実施し、スワヒリ語及びその他の民族諸言語とエスニシティの動態の把握に努めた。 2.ケニア,タンザニア,ウガンダ各国の研究機関との協力関係を結んだ。 3.小地域で話される各エスニシティの個別言語を超えた共通語(リンガ・フランカ)の動態について、その社会的機能の把握に努めた。 4.共通語の普及とともに、死滅にひんした小言語とエスニシティの実態を観察、記述した。 5.海岸地方の諸方言語彙を記述し、相互に比較するとともに、口承文芸の採録に努めた。 6.タンザニア内陸部で、バンツー諸語,クシティック諸語、ナイロ-ト諸語の交錯状況を観察し、言語の生態を記述した。 7.ケニア,タンザニア,ウガンダ各国の教育制度、言語政策、言語研究に関し、最新の情報の入手に努めた。 8.これらの調査を通して、エスニシティと言語の関係をめぐる重層的な構造を着取するなかで、方法論をマクロからミクロに切り換えて、言語とエスニシティの境界のありようを把握することが今後の課題の一つである。 9.もう一つの課題は、ケニア,ウガンダの都市部、農村部での言語調査の実施である。それをまってタンザニアの事例との比較検討が必要である。
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