研究課題
本年度は、フランス班とドイツ班が調査を実施し、イギリス班及びドイツ班の一部は、外国人共同研究者と連携を取りつつ、資料収集に努めた。フランス班によって得られた知見は以下のようである。(1)在宅ケアについては、全国規模でアソシエイション(非営利団体)が大きな役割を果たしており、そこにおいてボランティアが管理運営を含めて活動をしている。英独も類似性が想定されるが、これに関する3カ国の比較はわが国の高齢者介護対策に参考になる。「社会連帯-相互扶助」がキーワードである。(2)ジュペ首相による社会保障制度の改革案(一般社会保障金庫CGS制度の見直し等)の進捗状況をフォローし、英独の動きと比較する。社会保障財源の制度的確保についての政策提言に取って有益である。(3)介護者の労働条件は要介護者のケアに影響を与える。ヘルパー等専門職のそれの欧州連合及び英独仏3カ国の比較、及び非専門職のそれの位置づけと比較を引続き研究したい。ドイツ班によって得られた知見は以下のようである。高齢者ホームについては民営化の進行が急であり、その影響をフランクフルトを中心に調査し得た。民営化と法的規制は連動しなければならないが、英独仏3カ国の比較は、わが国の高齢者介護政策にも重要である。以上の知見に加えて、財政の上からも、精神的な観点からも、高齢者介護にとって、最も有効なシステムのなかに、家族やボランティアの役割を適切に位置づけていくことが不可欠であることを認識した。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)