研究分担者 |
山野 博哉 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員
秦 浩司 (株)海洋バイオテクノロジー研究所, 研究員
松本 英二 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (30199864)
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
米倉 伸之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30011563)
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研究概要 |
サンゴ礁は,光合成と石灰化とを通じて地球規模の炭素循環に関わっている.本研究では,サンゴ礁における炭素とこれに関係する窒素などの生元素の循環とその収支を外洋-サンゴ礁-ラグーンにおいて求めるとともに,こうした循環が過去の環境変動とそれに伴うサンゴ礁地形の形成に伴ってどのように変化したのかを明らかにする. 典型的なサンゴ礁として,大陸型の堡礁であるオーストラリアのグレートバリアリ-フと,海洋島型の堡礁であるミクロネシアのパラオ諸島を選んで,炭素循環に関して異なる機能を持つ地形帯を区分し,地形帯ごとに光合成と石灰化に伴う炭素の流量を測定した.その結果,サンゴ礁地形は海側の高まりである礁嶺とその陸側の礁舗,さらにその陸側の礁湖とに分かれることが明らかになった.流れ方による生産量の測定によって,礁嶺と礁舗では光合成が石灰化にまさっており,CO_2固定の場になっていることが明らかになった.固定された有機物の40%は,外洋に移行する.さらに,過去の環境変動の記録を解析するために,サンゴ礁とサンゴ群体のコアを採取した.その結果,パラオ諸島のサンゴ礁は,過去6000年間の海面上昇に伴って,サンゴを主とする造礁生物の骨格とその破片が厚さ15mほど積み重なって,上記の地形分帯構成を作ったことが明らかになった.また直径が3mのサンゴ群体の存在を確認した.その年輪の解析によって,過去数100年間の表面海水の水温,降水量などを月単位の時間分解能で明らかにすることができる.
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