研究分担者 |
山野 博哉 東京大学, 大学院・理学系研究科, 日本学術振興会特別研
秦 浩司 (株)海洋バイオテクノロジー研究所, 研究員
松本 英二 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (30199864)
小池 勳夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
米倉 伸之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30011563)
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研究概要 |
サンゴ礁は,光合成と石灰化とを通じて地球規模の炭素循環に関わっている.また炭素循環過程は,数1000年オーダーでの環境変動とそれに伴うサンゴ礁地形の形成とともに変化してきたと考えられる.本研究では,代表的な大陸型の堡礁であるグレートバリアリ-フと大洋島型の堡礁であるパラオ諸島とにおいて,サンゴ礁地形と生物分布,外洋-堡礁-ラグーン間での海水と炭素の収支,サンゴ礁地形の形成過程とサンゴ礁・サンゴに残された過去の環境変動の歴史について調査研究をおこなった.その結果,1)堡礁の地形は8000年前以降の海水面の急激な上昇と4000年前以降の安定とにともなって形成されたこと,2)サンゴ礁地形形成の主体は波のエネルギーの強い場に生育するミドリイシ類で,このミドリイシ類は現在のサンゴ礁の海側に現在も分布すること,3)こうしたサンゴ礁地形とサンゴ分布の帯状構造は,空中写真と衛星によるリモートセンシングによって効果的に区分できること,4)堡礁の礁原上では活発な光合成生産によって正味の有機物生産があり,これが堡礁をこえる上げ潮,下げ潮の流れによって外洋とラグーンに運搬されることが明らかになり,その収支を礁原上の生産量の測定と外洋に運搬される有機物のトラップ調査とから見積もった.さらにサンゴ礁と現生サンゴ群体のコア採取によって,過去の水温,塩分,海水面などの環境変動の歴史を読みとるための試料を採取し,その同位体解析を進めている.こうした解析の基準とするために,1997年からパラオサンゴ礁海水の水温,1998年から塩分の連続観測を開始した.これはパラオにおける水温・塩分の初めての連続観測記録である.
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