研究概要 |
この研究の目的はπ+πの束縛状態A_<2π>の寿命の直接測定実験をおこなうことにより,QCD(量子色力学)のカイラル対称性の破れに関する低エネルギー領域での検証を行う実験(PS212,通称DIRAC)をCERNで行うことである. 実験は1997年秋からビームラインの建設が始められ,1998年春からスペクトロメータ及び検出器の設置にかかり,同秋からテストビーム,1999年から本実験にかかる予定になっている. 本年度にはそこで日本側の主に担当するセカンドレベルトリガーに関連する検出器の制作と最終テストを行った. シンチレーティングファイバーを用いたビームホドスコープについてはフルモデルを制作し,ピークセンシング読み出し回路とともにテストを行って十分所期の性能(検出効率,位置・時間分解能)が得られることを実証した.それと平行してトリガーシグナルを作るための論理回路を設計し,プロトタイプを制作し,ビームを用いてテストを行った.この結果に基づいて本実験に向けて現在回路の制作が進められている.さらにすでに準備されてきたプラスティックdE/dxカウンターに変えてシリコンのマイクロストリップを用いたdE/dxカウンターを使用するための準備が開始された.
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