研究課題/領域番号 |
08044220
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
渡辺 雄一郎 帝京大学, 理工学部, 助教授 (60183125)
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研究分担者 |
BEACHY Roger スクリップス研究所, 植物生物学部, 部長
岡田 吉美 帝京大学, 理工学部, 教授 (30011703)
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キーワード | 移行タンパク質 / タバコモザイクウイルス / リン酸化 / GFP / 細胞骨格 |
研究概要 |
TMVの移行蛋白質(MP)はウイルスの細胞間移行に関与する。MPをGFPとの融合蛋白質として表現するLQwt:Gfusウイルスを作成した。このウイルスを植物に感染させ、GFPの発する蛍光により移行タンパク質の機能する細胞内での様子を追跡することが可能となった。紫外線ランプなどの照射によって、移行タンパク質の存在が感染後3日後あたりから蛍光によって確認ができる。その広がりはリング状となり、その半径が感染後の日時とともに広がっていく。このリングの外側は感染の初期に相当する細胞、内側ほど感染が成立して時間が経た細胞と捕えることができる。感染してまもなくの細胞では蛍光で粒状、punctateな構造が確認される。そして、その構造が集合して大きくなり、細胞骨格上に局在を見せながら、細胞壁のすぐ内側の原形質連絡と思われる箇所に集結をする。さらに感染から時間がたったと思われる細胞では蛍光が認めにくくなる。この観察から、MPは秩序だってウイルスの複製が盛んな所で集中的に蓄積をしていること、さらに複製のピークが過ぎたと思われるところでは分解される。"移行タンパク質はまず合成されると近傍で合成される遺伝子RNAを結合した形で、細胞質内で結集する。そして、細胞骨格上に移動し、その上をスライドして原形質連絡へと移行する"というモデルが浮かび上がってきた。 リン酸化を受けるMPの37番目のセリン残基をアラニンに変異させた移行蛋白質-GFP融合蛋白質を発現するLQ37A:Gfusウイルスを作成したところ、感染細胞内に合成が見られるものの、野性型のものでみられた局在性、時間変化がまったくみられない。MPのリン酸化がもたらす効果を可視的に示すことができた。 今後、MPが細胞骨格上に存在して移行するかどうか、植物細胞内でMPが分解される機構、これらの現象にリン酸化がどう関わるかを解析していく予定である。
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