研究概要 |
N遺伝子をもったタバコ(Nicotiana tabacum cv.Xanthi-nc)においてタバコモザイクウイルスが過敏感反応を引き起こす遺伝子部分を同定した。その結果、ウイルスの複製酵素が直接、または間接的にN遺伝子の働きを誘導して、過敏反応を引き起こすことがあきらかとなった。 N遺伝子を持たないタバコ(Nicotiana tabacum cv.Samsun)、持つタバコ(Nicotiana tabacum cv.Xanthi-nc)にN遺伝子のcDNAを35Sプロモーターでドライブする形で導入した形質転換体植物を作成した。その際にN遺伝子が細胞学的に観察が可能なようにC末に蛍光強度の強い変異GFP遺伝子を融合させた。実際に形質転換体を作成してみると、予想に反してウイルスが全身感染するものが多く、N遺伝子を機能させることは予想より単純でないことが明らかとなった。今後、TMV Ob株とOb-NL1,2,3株をもちいて、双方のウイルスを感染さあせた際のN遺伝子産物の細胞内の挙動の変化、違いを検討する。N遺伝子のcDNAを単離したU.C.BerkeleyのBarbara Bakerには今年度研究協力者をなってもらい、材料、情報交換をすることができた。TMV Ob株とOb-NL1,2,3株を用いた研究については研究分担者であるRoger Beachy博士,博士研究員であるHal Padgettの来日が予定されていたが、先方の組織の都合で今年度の来日が見送られた。
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