研究課題
国際学術研究
ショウジョウバエの体づくりを制御するポリコ-ム遺伝子グループ(Pc-G)に対応するマウスPc-GとしてM33、rae28、bmi1遺伝子などが単離されているが、これら遺伝子産物の相互作用を解析した。又、既に作製してあるM33、rae28遺伝子のノックアウトマウスの解析を進めた。1)マウスPc-G遺伝子、rae28、M33、bmi1についてグルタチオン-S-トランスフェラーゼとの融合タンパク質を合成後、これらタンパク質間の相互作用を解析した結果、これらタンパク質が複合体を形成して胚細胞核に存在すること、発生段階でのこれら遺伝子の発現パターンが異なり、タンパク質複合体の組成も細胞特異性のあること、rae28及びM33遺伝子産物はbmi1遺伝子産物と相互作用するが、お互いは直接、相互作用しないこと、更にこれらの遺伝子産物において相互作用に必要なタンパク質ドメインを明らかにした。2)マウスrae28遺伝子はショウジョウバエPc-Gのpolyhomeotic(ph)遺伝子に構造上及び機能上の相同性を示すが、ショウジョウバエのph-変異体にrae28遺伝子を導入してrae28とphの機能的相同性及び保存性を更に詳しく検討する目的で、rae28遺伝子を野生型のショウジョウバエに導入して、マウスrae28遺伝子を持つショウジョウバエを作製した。3)rae28遺伝子のノックアウトマウスの解析を続け、in situハイブリダイゼーション法を用いて、多数のHox遺伝子の発現パターンを解析、rae28遺伝子が菱脳におけるHoxb-3、Hoxb-4遺伝子の発現維持に関与していること、発生の進行に伴って造血幹細胞が減少することを見いだした。これらの結果は哺乳動物においてもPc-Gによる遺伝子発現持続の機構が発生開始の機構とは別に存在していることを示しており、系統的神経堤細胞の発生や造血維持において重要な機能を担っているものと考えられた。4)M33遺伝子のノックアウトマウスの解析を続け、このマウスの雌が雄性転換することを見い出した。
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