CVDによる薄膜調製は重要技術である。従来のCVD法は、高温・高真空・光やプラズマなど高エネルギーを要するプロセスである。本研究では、基板の触媒作用を利用して金属錯体を接触分解することで、200℃以下の低温で金属薄膜を調製し、さらに担持パイメタリック触媒の調製に応用した。金属前駆体として銅ジビパロイルメタナト錯体を用い、水素気流中で種々の基板上に金属銅の薄膜を調製した。水素化触媒として活性の高いパラジウムやニッケル上では膜成長速度が高く、銅やコバルト上では遅かった。表面を硫黄化合物で被毒し、触媒活性をなくした場合は成長速度が遅かった。またアルミナ基板の一部をpd膜で被覆した場合、Pd部分に選択的に析出した。このような選択析出を、担持バイメタリック触媒の調製に応用した。アルミナ担持Pd触媒のPd粒子表面に選択的に銅を析出させアルミナ担持Pd-Cuバイメタリック触媒を調製した吸着COの赤外スペクトル測定より、Pd上にCuが析出したことを確認した。またブタジエンの水素化反応でも、銅の添加効果が確認された。
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