研究概要 |
平成10年度は,アルゴリズム改良と検証と,データセット利用研究を実施した. ・アルゴリズム改良と検証に関する研究 ー 積雪量算定アルゴリズムにおいて,植生の効果を導入できるよう改良し,その結果を北半球100ケ所で観測された積雪深データを用いて検証し,良好な結果を得た(小池).また,ロシアで得られた詳細で多量の地上観測データとSSM/Iデータを用いて,多変量解析もとに地形・植生・気温等の効果を表現するアルゴリズムを提案した(大畑・大野). ー 土壌水分算定アルゴリズムにおいて,植生・粗度の効果を導入できるよう改良し,その結果をチベット高原およびロシアでの観測値を用いて検証し,良好な結果を得た(小池). ー 降水量算定アルゴリズムにおいて,ユーラシア域の地上雨量データを収集し,領域毎のキャリプレーションにより,アルゴリズムの改良を試みた(上野).また,TRMM TMIデータを用いた降水量算定アルゴリズムを開発し,チベット高原で観測された地上雨量データを用いて検証し,良好な結果を得た. ー 蒸発量算定アルゴリズムを,HEIFE,筑波大学水理実験センターのデータを利用して,モデルの検証を行い,モデルのコンセプトの有効性を実証した.また,ISLSCP Initiative Iのデータセットを利用して,全球蒸発量分布を試算した.しかし,森林,ツンドラ地域で,非現実的な値が一部で得られたため、モデルの改変をおこなった,その結果,蒸発量の分布は非常に現実に近い物となった.しかながら,雨量と比較すると,絶対値が大きすぎる場所がことがわかった. ・データセット利用研究 ー ECMWF再解析とECMWF現業客観解析データ,NCEP,気象庁現業客観解析データを,水蒸気量の衛星プロダクトであるNASA Water Vapor Project(NVAP)データと相互比較した(谷田貝). ー ECMWF再解析とGMSから得られる水蒸気データを用いて,ユーラシア内陸,チベット高原周辺の水蒸気輸送過程と降水の関係をまとめた(谷田貝,安成). ー SSM/Iから得られるユーラシアの植雪量データを用いて,チベット高原上の積雪量の東西分布の年々変動を調べ,最大積雪深さの東西分布にシーソーのような年々振動があることが明らかとなった(小池).
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