研究課題/領域番号 |
08303011
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊東 弘文 九州大学, 経済学部, 教授 (60047735)
|
研究分担者 |
朴 源 鹿児島大学, 法学部, 助教授 (60253853)
世利 洋介 久留米大学, 経済学部, 助教授 (40248349)
赤石 孝次 長崎大学, 経済学部, 助教授 (20192875)
中村 良広 北九州大学, 経済学部, 教授 (20117526)
澤井 勝 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30254618)
|
キーワード | 水平的財政調整 / 付加価値税 / 小売売上税 / 水平的政府間関係 / 垂直的政府間関係 |
研究概要 |
一、 税制調和・協調を議論する場合、水平的な政府間関係の視点は欠かせない。ドイツにおいては州相互間の水平的財政調整という方式をとっているが、これが1950年度州間財政調整法によって誕生する迄の過程を検討した。その際、連邦政府と州の間に加え、「(財政調整による)受益(を受ける)」州と「負担」州の間の利害調整の過程であったことを明らかにした。 二、 州間の課税上の問題は、アメリカにおいても小売売上税の展開でみられる。販売と消費が異なる州で行われることによって生じる課税問題がそれで、これに対しては利用税が事実上の調整機能を期待されてきた経緯がある。これは、州外で購入され州内で利用される財に対して、小売売上税と同一の課税標準・税率で賦課される税である。ただし、この税の活用には、特に通信販売企業に対する課税権の行使をめぐって法律上の制限が課せられている点を明らかにした。 三、 国家間の税制調和問題として、EU内での付加価値税の調和の在り方が注目される。この方式は、税関の事務を一部企業内部に移転する「支払い繰延べ」方式として定着していることを明らかにした。また、この調和問題で提出されたクルアリング・ハウス・システムの考え方は、我が国の地方消費税の都道府県間配分という方式と同様に消費基準が採用されていることを示した。 四、 EUで展開されている国家間の税制調和の議論を、我が国の垂直的な中央-地方の政府間関係に適応してみた。この場合、中央政府と地方政府の間の特に所得税の税源配分の議論で示唆される点があることが判った。すなわち、中央と地方の間のパートナーシップの確立、補完性の原則に沿った政府間関係の再編成へと向かう議論の展開が求められることが示唆されている。
|