研究分担者 |
小池 正夫 九州大学, 数理学研究科, 教授 (20022733)
北岡 良之 名古屋大学, 多元数理研究科, 教授 (40022686)
足立 恒雄 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60063731)
栗原 将人 東京都立大学, 理学部, 助教授 (40211221)
中村 憲 東京都立大学, 理学部, 助教授 (80110849)
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研究概要 |
本年は三年にわたるこの研究の初年度であり,計画の大枠のもとで目的を具体化し,資料・情報を整えるとともに,単純な場合を取り上げて実験的な考察を行い,必要とされる手法を開発することを主眼とした. 1.数学史的手法:類体論の成立過程におけるゼータ関数を用いた解析的手法が果たした役割を,H.Weberの仕事に見るとともに,その役割を代数化する試みがイデ-ル化を産んだ過程を資料に基づいて分析した. 2.各種拡大の構成:一次分数変換に注目して奇数次の巡回拡大の構成に取り組み,特に,3,5,7次に関しては生成的な多項式を決定した.この手法は一般に2n次,nは奇数,のダイヘドラルな場合に自然に拡張される見通しを得ている.これらの成果は,コムピュータを用いた実験を含むまったく新しいアプローチを可能とするものと思われる. 3.保型形式の理論と関連した研究:有限体上の超幾何多項式を超特異楕円曲線の不変量を根に持つ多項式という観点から考察し,j不変量を計算することで変数の変換式を得,これを用いて超幾何多項式の間に成り立つ変換公式を証明した.さらにこの変換公式の応用として算術的な三角群に関する保型関数で超幾何関数と極めて密接な関係を満たすものを取り出すことに成功した.またj関数の定義に超幾何微分方程式を利用することの意味を開拓すべきであるという知見を得ており,この方向をさらに追求する.また,一般線型群の算術的有限部分群についてのまったく新しい現象が取りだされた. 4.3月17日から4日間にわたる研究集会を開催して,内外における最新の研究成果とそれに伴う資料等の収集を行い,今後の研究に生かしうる有益な情報等を得た.
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