研究分担者 |
石橋 整司 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30212921)
福島 義宏 大気水圏科学研究所, 教授 (00026402)
木田 秀次 京都大学, 理学研究科, 教授 (60252417)
小島 覚 富山大学, 理学部, 教授 (80115138)
及川 武久 筑波大学, 生物科学系, 教授 (70011682)
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研究概要 |
従来、植生は気候の一方的な支配を受けているものとされていたが、近年GCMによる気候生成過程のシミュレーションの発達とともに、逆に植生の側も、(1)二酸化炭素の固定と排出、(2)地表面のアルベ-ド調整、(3)蒸発散による水蒸気と潜熱輸送という三つの機能を通じて大気の側に大きなフィードバックを及ぼしているのではないかと考えられるようになってきている。本研究は、植生によるこれら三つの大気環境へのフィードバック機能がすべて葉を通じて行われていることに着目し、広域的な植生の葉面積の推定方法を確立することと、葉面を通じて地上植生が大気環境におよぼす影響を定量的に評価することを目的としている。 本年度は、航空機に搭載した赤外線レーザー測距儀による広域的な森林の現存量と機能量の測定方法を開発するため、精密地上測定、多点地上測定、航空機測定という三つの異なるレベルで同一森林の測定を行い、今後の解析に用いる基礎データ収集した。調査の対象には高度により植生が成帯分布をなす御嶽山を選んだ。まず、人為的な森林変革の影響が弱まる山麓部の針葉樹人工林(標高1,450m以下)から上に、天然広葉樹林(1,450-1,650m)、天然針広混交林(1,650-2,000m)、天然針葉樹林(2,000-2,250m)、針葉樹矮木林(2,000-2,250m)、広葉樹矮木林(2,250-2,400m)を経て樹木限界のハイマツ林(2,450m)に至るトランセクトを設置したうえ、(1)各植生帯ごとに設けた7点のプロットにおける精密測定、(2)プラントキャノピ-アナライザーによる地上多点測定、(3)航空機に搭載した赤外線レーザー測距儀による広域的な森林測定、を行い、来年度以降の相関解析に必要な、森林の樹高、直径分布、樹冠直径、現存量、葉面積、準断面プロフィールなどの基礎的データを収集した。 またこれらの現実の森林計測とは別に、航空機による測定結果を既存の全国森林台帳に援用してさらに広域な森林機能量の推定を行うためのGISシステムのプロトタイプを開発した。
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