研究分担者 |
日野田 裕治 札幌医科大学, 助教授 (10165128)
春日 雅人 神戸大学, 医学部, 教授 (50161047)
宮本 英七 熊本大学, 医学部, 教授 (50109659)
田村 眞理 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (20124604)
久野 高義 神戸大学, 医学部, 教授 (50144564)
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研究概要 |
セリン/トレオニンホスファターゼ(PP)の研究では,武田がヒトPP2Aの74kDa調節サブユニットB"(δ_1)のスプライシング変異体δ_2,δ_3を見い出した。ラットB"は72kDaであり,広い組織分布を示し,特に脳に多く分布した。菊池は腹水肝癌細胞AH13で,翻訳開始点上流2ケ所の領域で著しいPP1α遺伝子のプロモータ活性の上昇を認め,PP1αの転写上昇が悪性度と平行することを観察した。久野はPP2B遺伝子破壊による機能異常を相補する因子として新規MAPKホスファターゼ,pmp1を発見した。田村はCOS細胞でのPP2Cの発現系を用いて,PP2Cはストレス依存性キナーゼ,p38システムを抑制すること,その作用点がp38を活性化するキナーゼか,その上流にあることを明らかにした。宮本は長期増強誘導時にPP2Aの55kDa触媒サブユニットのリン酸化をみとめた。藤木はPP阻害剤,ノジュラリンが強力なラット肝発癌プロモーターであり,TNF-αmRNA,初期応答遺伝子の発現をmRNAの安定化によって持続的に誘導することを見い出した。チロシンホスファターゼ(PTP)の研究では,春日はSH2を有するPTP,SAP-2/SHP-2の基質SHPS-1の過剰発現により,CHO細胞でのインスリンによるMAPKの活性化の増強を観た。SHPS-1-SAP-2複合体の形成が,この経路のほかにインテグリンを介した細胞接着刺激や,リゾホスファチジン酸によるMARKの活性化にも重要なことを明らかにした。日野田はIL-2Rβ鎖遺伝子導入BAF-BO3細胞において,IL-2刺激によりSHP-2のチロシン残基のリン酸化を観察した。矢倉は同一のPTPが細胞の分化段階が異なると全く逆の作用を示すことを,チロシンキナーゼやMAPKのメンバーのCD45による制御を解析することにより明らかにした。渡辺はPTPεがPC12D細胞の神経分化時に一過的に発現されることを明らかにした。
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