研究分担者 |
永武 毅 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30164445)
平山 壽哉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50050696)
中村 三千男 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30091276)
神原 廣二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
大渡 伸 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (80128165)
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研究概要 |
I.発汗分泌神経の特異性は、支配神経が交感神経であるのにコリン作動性であり、この種の発汗はピロカルピンで促進、アトロピンで抑制されることである。しかし、汗腺を支配する交感神経末端による化学伝導物質として、Vaso-active intestinal polypeptide(VIP)が発見されたのを機に、アドレナリンとアセチールコリンの二重支配についての問題解明に関心が寄せられている。本研究課題の実施に関して、初年度(平成8年度)実中研から提供されたヒト皮膚移植重症複合免疫不全症のBALB/cA nu・SCIDマウス(T細胞・B細胞共に欠落)を固定し、微量のアドレナリン、ピロカルピン、VIPを移植ヒト皮膚の部位に注入し、ミノール法にて汗滴を同定、拡大鏡を用いて観察・確認し、次ぎの結果を得ている。即ち、1.nu-SCIDマウスに移植されたヒト皮膚の生着は良好かつエクリン汗腺が存在し、神経は痕跡、血管血行を認めた。2.アドレナリン、ピロカルピン、アトロピン、VIPなどの化学伝達物質を注入したところ、発汗の強度はピロカルピン>アドレリン>アトロピン+ピロカルピン>VIPの順であった。 II.次年度(平成9年度)には、上記前年度の研究結果を更に発展させ、ヒト皮膚による定量的軸索反射性発汗(Quantative Sudo-Motor Axon Reflex:QSART)をイオン電離輸送(Ionto-phrosis)によって誘発し発汗分泌の末梢性機序解明を企画し、以下の実験成績を得ている。 (1)Into-phoresisによるQSARTの結果アセチールコリンはAxon Reflex(軸索反射)性発汗誘発(AXR) (2)しかるにVIPにAXRで陰性、DIRで養成の結果を得、AChとの違いを示した。即ちニコチン作用で発汗誘発可、ムスカリン作用で発汗誘発不可を示唆するものでる。そこで(3)軽運動負荷後のVIP投与ではACh,VIP共にACh,VIPで発汗誘発陽性となり、発汗分泌における発現閾値の存在と末梢微細血管の拡張さよう(一種に炎症類似作用)が考えられる。 発表論文:Lee,Jeong-Beom et al.,:Suppression of the sweat gland sensitivity to acetylcholine applied iontophoretically in tropical Africans compared to temperate Japanese.Tropical Medicine,39(3/4),111-121,1997
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