研究概要 |
(1)Ca^<2+>信号系を解析するための新しい分子薬理的toolを見出す目的で種々の薬物につき検討を行った。amlexanox,cromolynなどの抗アレルギー薬が、カルモデュリン拮抗作用やカルモデュリン結合作用はないものの、S-100,visin-like protein,14-3-3などと結合子これらの作用を阻害することを見出した。 (2)脳の発達におけるシナプスの形成に伴い如何にCdk5が関与しているかについては、活性測定、及びWestern blotを中心に行った。その結果生後約2〜3週で最も活性が高くなっていた。Cdk5,p35の含量変動では、Cdk5は週令を通じてほとんど変化せず、p35が活性と同期して増減を示した。各発達段階におけるCdk5/p35の分布を光顕ならびに電顕による免疫組織解析では、両者の分布は胎生12日目より発現し、生後2週目で最も染色性が高くなった。これは活性の変動と同じであった。Cdk5/p35はタウ蛋白質をリン酸化することを示した。またリン酸化タウの変動とCdk5/p35の活性の変動は一致していた。 (3)ラットにおいてキンドリングモデルを作成し解析を進めた。てんかん病態におけるシナプス形成においてカルシニューリンが主体的なはたらきを行っていることを、その阻害剤であるFK506等の免疫抑制剤を用いることにより明らかにした。またキンドリング作成後の脳の海馬スライスを用い,免疫抑制剤存在下にパッチクランプ法で電気信号を記録し観察した結果、FK506がてんかん波の発生を抑制する傾向があることが判明した。 (4)脳に存在する新しいCa結合蛋白質(calbrainと命名)を発見しクローニングした。この機能を解析している。 (5)網膜に存在する新しいCa/calmodulin kinase IV様蛋白質(reticalminと命名)を発見した。
|