研究分担者 |
岡 輝明 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60177029)
河原崎 秀雄 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (60115475)
高山 忠利 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30280944)
針原 康 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (10189714)
窪田 敬一 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (70260388)
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研究概要 |
東京大学医学部附属病院では平成8年1月より生体肝移植を開始し平成9年2月までに11例を施行した。Recipientの年齢は平均7.0歳(10ヶ月〜24歳)であり、男性7例、女性4例であった。原疾患は胆道閉鎖症8例、胆汁鬱滞性肝硬変1例、Alagille症候群1例、肝硬変・難治性食道静脈瘤出血1例であった。10例において両親より、1例で祖母より移植肝を採取した。ドナーは術後合併症もなく、全例順調に回復した。レシピエントも11例中3例が術直後で入院中であるが全例が生存中である。免疫抑制療法はFK506+ステロイドを基本として行っている。移植後順調にT-BIL,GOT,GPT,ALP,G-GTPが低下している過程で、これらT-BIL、肝酵素、胆道系酵素の急激な再上昇が見られた時、急性拒絶と診断し治療を開始することにした。このような診断基準のもと、現在までに5例において5回の急性拒絶が診断された。平均13.8日目(8〜21日目)に診断されている。これら5回の急性拒絶では肝酵素、肝胆道系酵素の急激な上昇に軽度T-BILの上昇が加わっていた。本研究で検討すべく免疫学的観点からみた急性拒絶の診断であるが、サイトカイン(TNF-a,IL-2,IL-4,soluble IL-2 receptor,IL-6,IL-10)を中心とした免疫系の変化は現在測定中であり、まだ報告できる段階ではない。対象が生後10ヶ月の位の場合が多く、十分量の採血ができないことが問題となることがある。これらサイトカインの変動は次回報告時に詳細に提供することができると考えている。一方、apoptosisを見るため、肝生検材料で検討することになっているが、肝生検をまだ3例でしか施行しておらず、十分な検討ができていない。対象が小児であるため、肝生検には全身麻酔が必要であり、その施行回数が少ない原因となっている。現在待機している患者数も増加しており、今後施行症例数も増える見込みであり、さらなる、検討ができると考えている。
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