研究課題/領域番号 |
08451082
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
曽田 三郎 広島大学, 文学部, 助教授 (40106779)
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研究分担者 |
松重 充浩 広島女子大学, 国際文化学部, 助教授 (00275380)
水羽 信男 広島大学, 総合科学部, 助教授 (50229712)
楠瀬 正明 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40033518)
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キーワード | 国民国家 / 国民統合 / 地方自治 |
研究概要 |
近代・現代の中国が直面した政治史上の一つの重要な課題は、近代的な国民国家の形成であった。近代国民国家形成には、大きく分けて二つの内容がある。第一は国家の外枠に関することで、専門分化を前提とする合議的・集権的行政府や、国民代表制の制度的保障としての地方自治組織・中央議会組織の編成等に見られる政治制度の整備である。第二は国家の内部の充実に関わることで、国民あるいは国民意識の創出である。 第一の問題について、清末時期・北京政府時期を中心に研究したのが代表者の曽田三郎と分担者の楠瀬正明でであり、近代国民国家形成のための政治制度整備をめぐってあい対抗する二つの動向があったことが判明した。一つは行政府優位の下で政治制度の整備を図り、国家の側から国民統合を実現しようとする動向であり、もう一つは地方自治や中央議会を媒介として実現する国民の自主的合意形成を基盤として、国民統合を実現して行こうとする動向であったが、近代・現代の政治史を通じて主流となったのは前者であり、袁世凱政権下での国家形成の試みはもとより、国民党や共産党もともに一党制の下で行政府優位の国家を形成しようとする点では共通していた。 第二の問題も視野に入れながら、こうした近代国民国家形成の主流に対抗するさまざまな試みを解明しようとしたのが、分担者の松重充浩と水羽信男であり、前者は中央からの自立性を強め、他方自治から地域自治へと傾斜しようとする北京政府期末期の東北地域の動向を明らかにし、校舎は中華人民共和国成立の直前まで国民党と共産党のはざまで国民の創出と統合を模索した都市知識人の国民国家構想を明らかにした。
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