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1998 年度 実績報告書

近代中国の地方自治と国民統合に関する史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08451082
研究機関広島大学

研究代表者

曽田 三郎  広島大学, 文学部, 助教授 (40106779)

研究分担者 松重 充浩  広島女子大学, 国際文化学部, 助教授 (00275380)
水羽 信男  広島大学, 総合科学部, 助教授 (50229712)
金子 肇  下関市立大学, 経済学部, 助教授 (70194917)
楠瀬 正明  広島大学, 総合科学部, 教授 (40033518)
キーワード地方自治制 / 国民統合 / 連邦主義
研究概要

本年度は中華民国期を中心に、地方自治制の導入と国民統合の達成について研究した.
各省権力の事実上の割拠的存在を前提に成立した中華民国にとって、中央と地方の間の安定した連携間係の樹立は緊要な政治上の課題であった.袁世凱政権時期には中華民国約法の下で、中央においては独裁的な政治体制が形成されたが、中央と地方の有機的連関は結局実現できなかった.第一次大戦の発生は、中国にナショナリズムの高揚をもたらした.このためにいかなる政治勢力もこれへの対処を必要とするようになり、国民的統合が主張され始めた.北京政府時期におけるナショナリズムへの一つの対処は、省に高度の自治権を認める連邦主義的形態で出現した.武力統一に挫折した北京政府はこうした動きを無視できず、省自治を許容することによって最後の統一化を試みた.
ナショナリズムの一つの指導政党であった国民党は、北伐によって一応の軍事的統一を達成し、国民政府を樹立した.国民党・国民政府は省自治を基礎とする連邦主義を軍閥割拠の根拠であると排除し、県を地方自治の単位とした.南京国民政府の下で憲政への移行をめざして公布された「五五憲草」の作成過程において、当初は均権の原則が適用されるはずであった省政府はその固有の権限が次第に削除され、中央からの指揮を受ける地方行政の監察機関と位置づけられるようになった.均権の原則は自治の単位である県に適用されたが、この県の権限も憲法上での規定が次第に抽象的になり、中央集権的な体制が整備されるようになった.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 水羽 信男: "中国革命の知識人-平野正氏の研究を手がかりとして-" 広島東洋史学報. 3号. 53-71 (1998)

  • [文献書誌] 金子 肇: "袁世凱政権の地方財政機構改革" 歴史学研究. 723号. 1-17 (1999)

  • [文献書誌] 曽田 三郎: "現代中国の構造変動:ナショナリズム-歴史からの接近" 東京大学出版会, 260 (1999)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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