研究課題/領域番号 |
08454083
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
西垣 敏 九州工業大学, 工学部, 教授 (60126943)
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研究分担者 |
山田 健二 石川工業高等専門学校, 助手 (50249778)
内藤 正路 九州工業大学, 工学部, 助手 (60264131)
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キーワード | 準安定原子説脱励起分光 / ヘリウム準安定原子 / スピン偏極ビーム / 表面磁性 / ニッケル / 電子スピン密度 |
研究概要 |
本研究は表面最外原子層の局所電子スピン状態密度を選択的に抽出できるスペクトロスコピーの開発を目的としている。その最終年度である本年度の研究概要・結果は以下の通り。 1. ヘリウム準安定原子ビームのスピン偏極度を測定するためにシュテルン=ゲルラッハ偏向系を製作した。試料の交番磁化と電子エネルギー分析器動作を同期させることで、実験システムの非対称性から来るスペクトル非対称性の分離を実現した。またスピン偏極原子散乱と表面からの電子放出の起こる環境の磁気シールドのため、μ-メタルチャンバー製の測定室を製作した。しかし、ビームに混入しているフォトンの影響の除去と試料温度依存性測定のための装置開発は研究期間内に行えなかった。 2. Ni(110)清浄表面とその上への酸素吸着過程に対し、開発されたスピン偏極準安定原子脱励起分光法を適用して、表面最外原子層局所電子スピン状態密度のself-convolutionをエネルギーの関数として得た。スピン依存スペクトル上でのシフトに違いがある2つのピークがNi3dバンドスペクトル上に現れることを示し、それらを、dバンド内に生成された2ホールのオージェ終状態における1重項-3重項分裂に起因することを明らかにした。 3. 表面における電荷移行を調べるため、非偏極の準安定ヘリウム原子ビームを使って半導体表面へのアルカリ金属・酸素吸着過程の局所電子状態解析を行った。 今後、上記1.の実験条件整備を引き続き進めると共に、Ni,Feなどの表面への化学吸着が表面原子磁気モーメントに及ぼす影響、半導体表面上への磁性金属単原子層膜やマイクロクラスター、ナノメートル低次元構造の磁気物性解明、などを課題にした研究を進める。
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