研究概要 |
CdTe化合物半導体は耐放射線損傷に強く、宇宙用太陽電池材料をして期待されている。CdTe薄膜を1M CdSO_4,H_2SO_4,TeO_2水溶液から60℃にて、種々のpH及び電位で回転電極Ni基板上に単位面積あたり2クローン電析させ、その電析機構について検討した。得られた薄膜のSEM観察および、X線回折を行ったのち、電子吸光分析により薄膜組成の化学量論性を検討した。本研究において作製した化合物半導体薄膜はpH=1.8の場合にその化学量論組成及び結晶構造ともに良好であった。特に-600mV(vs.CuRE)においてはCdTe(111)面の非常に強いX線回折ピークが観察された。また、表面形態は非常に小さい(0.1μmオーダー)粒子によって構成されていることがSEM観察された。Cdが単体で析出することが不可能な電位においても溶液中に添加された少量のTeO_2はCdの析出を誘起し、いわゆる誘導共析現象が確認された。その場合もX線回折により、CdTeの生成が確認できた。さらに化合物半導体薄膜の電気化学プロセシングとして陰極基板近傍の多成分イオンの移動速度を解析した。HTeO_2^+イオンの陰極表面への吸着平衡を考えることで、HTeO_2^+の表面濃度と生成膜のat%Teとの関連性について説明することが出来た。しかし、あるpHにおいて特定の電位で非常に強いCdTe(111)面が現れたが、これがどのようなメカニズムによるものなのかは不明のままである。
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