研究概要 |
1)MRIによる肺野の撮像条件の検討 正常ボランティアの肺野において,呼吸停止下における撮像パラメータの検討を行った.エコー時間を短くしたグラディエントエコー法,Fast SPGR法による検討を行って,呼吸停止時間を14秒としたTR/TE/Flip angleをそれぞれ100msec/1.4msec/35°による画像が肺野の微細構造を描出するのに最適であった.但し,今後さらにエコー時間を短縮する検討を行う予定である. 2)動物実験による肺梗塞病巣の摘出能の検討 日本白色家兎2羽に自家血の凝血塊による肺梗塞を作成し,上記撮像パラメータによるMRI撮像を行った.生体においては呼吸停止が不可能なことと体動により高画質が得られず,肺野病変の詳細は描出されなかった.しかし屠殺後のMRI撮像で肺浮腫を中心とする梗塞巣の病変がかなり良好に描出された.今後はエコー時間を短縮する撮像パラメータの改善を行い,肺水腫モデルおよび肺線維症モデルのMRI描出能の検討の実験へと進めていく予定である. 3)拡散強調画像のためのファントム実験 肺組織は磁化率の変化が大きい組織が混在するため現時点での拡散強調画像の条件では肺野での画質良好な拡散強調画像を得ることができない状況である.現在はスピンエコー型のエコープラナー(EPI)法でTR/TEをそれぞれ6500msec/70msecと設定し,b値を0から250まで変動させているが,ファントム実験を含めさらに検討を行っていく予定である.
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