研究課題/領域番号 |
08457367
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
浅利 正二 岡山大学, 医学部, 助教授 (40175857)
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研究分担者 |
二宮 善文 岡山大学, 医学部, 教授 (70126241)
富田 享 岡山大学, 医学部, 助手 (90237115)
伊達 勲 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (70236785)
松本 健五 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (10190521)
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キーワード | クモ膜下出血 / 脳血管攣縮 / 遺伝子治療 / エンドセリン / 転写因子 |
研究概要 |
我々はこれまでにクモ膜下出血時の脳血管攣縮という病態には、血管平滑筋、内皮細胞および細胞外マトリックスにおけるの遺伝子レベルでの制御が重要な役割を果たしていることを報告してきた。本年は、ラット、サルのくも膜下出血モデルを用いてエンドセリンの役割を遺伝子レベルからのアプローチで解明し、治療に応用可能なシステムの開発に着手し、結果を得ている。すなわち、ラットのくも膜下出血モデルにおいて、出血後早期の血管攣縮に対しエンドセリンのmRNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを血管壁に導入することで約60%の収縮率を85%以上までに抑制することに成功し、すでに報告た。サルくも膜下出血モデルにおいても、pCAGGSプラスミドにリバースにヒトエンドセリンcDNAを組み込むcationic liposomeとcomplexとし脳底動脈に遺伝子を導入、世界で初めて霊長類での脳血管攣縮の実験的遺伝子治療に成功した。又、コラーゲンType 1のmRNAアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた抑制実験でも対照群が60%の収縮率であるのに対し、76%と有意に収縮を抑制し、脳血管攣縮でのコラーゲンを中心とした細胞外マトリックスの関与が証明されている。また、新たにラットを用いて、くも膜下出血時の細胞内伝達系の活性化、とりわけ転写因子のmRNAの活性化を(3-9倍程度)証明することが出来た。この事実により攣縮血管においても遺伝子レベルでの制御が重要な役割を果たしていることが更に裏付けられ、これらをターゲットとした臨床治療の可能が示唆された。
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