研究概要 |
ノルボルナン骨格を有し金属と7員環キレーションをとり7位にアミノ酸残基を有する配位子BHMP-7X類を用い、Pdを触媒とする不斉二重アリル化による環化を検討し、光学活性2-Vinylbenzoxazineの効率的合成に成功した。7位側鎖としてβ-AlanineをもつBHMPが最も高い選択性(71%ee)を示し、隣接基としてカルボキシル基が基質と水素結合をすることで選択性向上に重要な働きをしていることが明らかとなった。一方、ノルボルナン骨格を有し触媒金属を含む環がより強固に5員環で固定できる構造と各種のヘテロ官能基を7位synまたは、6, 7位に隣接基としてもつ光学的に純粋なビスホスフィン配位子Norphos類縁体の効率的合成を行い、まずそれらを配位子とするロジウム錯体を触媒とする各種のプロキラル官能基をもつ基質の不斉水素化を検討した。その結果、N-アシルデヒドロアミノの不斉水素化では7位の隣接基の関与はあまり大きくなく、主に立体的効果が影響し立体的に大きいものほど選択性が低下するが、7-OH体が最も高い選択性(97%ee)を示すこと、および、配位子のPMキラリティーと生成者の立体配置が隣接基には影響されることなく相関関係を示すことが明らかとなった。このことは、アミノケトンの不斉水素化についても同様であった。一方、N-ベンゾイルヒドラゾンの不斉水素化では、隣接基の大きな効果が見られた。すなわち、7位の隣接基としてカルボキシル基をもつ配位子では、それ以外の配位子とは絶対配置が逆の生成物が得られるという非常に興味深い結果が得られた。これは、カルボキシル基の基質との水素結合による効果を示唆するものである。
|