研究課題/領域番号 |
08457587
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
阿知波 一雄 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10012626)
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研究分担者 |
森本 俊明 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (60046307)
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キーワード | 不斉配位子 / 不斉触媒 / パラジウム触媒 / ロジウム触媒 / 不斉アリル化 / 不斉水素化 / 不斉ヒドロシリル化 / 隣接基 |
研究概要 |
ノルボルナン骨格を有するビスホスフィン配位子で骨格にヘテロ原子官能基をsynに導入した光学的に純粋な新規配位子を立体特異的な骨格転位を利用することによって効率的に数種類合成し、それらの遷移金属錯体を用いる不斉触媒反応を行い、隣接関与基のエナンチオ選択性に及ぼす効果を検討した。隣接関与基として特に7位側鎖にアミノ基をもつ配位子NORPHOS-7-NEt_2と5位側鎖にもつNORPHOS-5-NEt_2配位子では、Pd触媒不斉アリル化反応(マロン酸エステルのCアリル化)において、このような隣接関与基をもたないNORPHOSと比較して立体選択性が全く逆転し、しかも非常に高いエナンチオ選択性(〜99%ee)で生成物を与えるという非常に興味ある事実を見いだすことができた。また求核剤としてフェノール性O原子の分子内求核的アリル化によるビニルクロマンの不斉合成においても隣接基の効果で立体選択性が逆転することも見いだした。これに対し、不飽和カルボン酸類のRh触媒不斉水素化反応ではこれらの配位子の隣接関与基の効果は見られなかった。一方、異なるヘテロ原子をもつハイブリッド型の新規不斉配位子(SN-配位子、SP-配位子)の開発も行なった。不斉イミダゾゾリン骨格をもつSN-配位子ではヘテロ原子の電子的効果によって、Pd触媒不斉アリル化で高いエナンチオ選択性を実現する事ができた。PS型の不斉配位子を用いるケトンのRh触媒不斉ヒドロシリル化では、硫黄あるいは隣原子の付く位置の立体的違いによってそのエナンチオ選択性が大きく異なることを見いだし、これまでほとんど配位子として利用されなかったS原子の効果を明らかにした。
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