研究概要 |
特殊教育におけるコンピュータ等の情報機器の活用に関する教員研修をより充実させることを目的に教師教育用マルチメディア教材を開発した.本教材はHTML(Hyper Text Markup Language)を使って記述され,学習者はコンピュータのマウスを操作することで各自の興味に従って教材に含まれる映像や資料を表示させることができる. 作成されたマルチメディア教材の評価を27名の特殊教育教員を対象に行った.事前と事後においてコンピュータに対するイメージを評定させた。形容詞対には(1)「むつかしい-やさしい」,(2)「機械的-人間的」,(3)「かたい-やわらかい」,(4)「嫌い-好き」の4対を選定した.各評定について,事前-事後の対応が各被験者で成立するのでデータに対応のある場合のt検定を行った.その結果,「むつかしい」から「やさしい」(事前の評点は平均で2.4,標準偏差が1.4,事後が3.4,標準偏差が1.8)へと有意(両側検定,p<.01)に,「機械的」から「人間的」(事前の評点は平均で2.5,標準偏差が1.5,事後が2.9,標準偏差が1.5)へと有意ではないがイメージの変容の傾向がみられた(両側検定,.05<P<.1).このように,教材の使用後にコンピュータに対するイメージが「むつかしい」ものから「やさしい」ものへ,「機械的」なものから「人間的」なものへと変化する傾向がみられたことなどから、操作性の向上をはかるなど改善の余地はあるものの,開発したマルチメディア教材が有用であることが示された.今後さらに,新しく制作される自作ソフトウェアの追加など,継続的な教材配布体制の確立が急務であると考えられた.
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