研究課題/領域番号 |
08458164
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
滝川 清 熊本大学, 工学部, 教授 (80040450)
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研究分担者 |
山田 文彦 熊本大学, 工学部, 助手 (60264280)
田渕 幹修 熊本大学, 工学部, 講師 (40037966)
原田 浩幸 熊本大学, 工学部, 助教授 (20222234)
大本 照憲 熊本大学, 工学部, 助教授 (30150494)
古川 憲治 熊本大学, 工学部, 教授 (60029296)
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キーワード | 有明海環境 / 河口域の環境 / 陸水流入 / 干潟 / 干潟の浄化 / 物質の拡散 / 飛来塩分 / 潮流 |
研究概要 |
1.有明海に関する数多くの文献資料収集を行うと共に、文献内容の調査・整理、さらに「流況特性と環境特性」,「閉鎖海域における物質収支と浄化機能」,「干潟の底質環境と底生生物」,「干潟の物質循環と浄化機能」の4つの項目について取りまとめた。 2.干潟特有の性質である底生動物に着目し、これらが干潟底泥の物理化学特性と浄化機能に与える影響をカラム実験により検討した。底生動物除去のために行った篩い分けにより、脱窒酵素活性は不攪乱土に比べ最大30%まで低下した。低下した浄化機能は経過日数とともに回復し、硝化速度及び脱窒素速度において82日後にはほぼ不攪乱土の状態まで回復した。この回復条件の下に底生動物を投入すると、脱窒素反応は表層で大きく促進がみられ、投入後30日後には対照系に比べ、約20%の増加が認められ、底生動物が有する干潟の浄化機能を定量的に明らかに出来た。 3.緑川河口域に発達した干潟の経年変化(1923〜1990年)について、河口部の縦・横断形状を作成・調査し、堆積・洗掘の状況を河川土砂供給量や干潟流況と関連して検討した。また、干潟部での流速測定を行い、澪筋では水面付近で砂州の影響が強く、その分布形は上げ潮時と下げ潮時で類似の鉛直分布を示す事が分かった。またSS濃度測定も行い、懸濁物質濃度は上げ潮時の方が大きく、その鉛直分布は一様化する傾向にあり、底面近傍では浮泥層の存在が推定出来た。 4.有明海全域及び白川・緑川河口域に対する潮流の数値計算を実施し、河川流量変化、潮位変動等に伴う流況特性の把握と、移流物質の拡散状況を数値的に検討した。計算結果は実測値とよく一致し、潮汐残差流に代表される流況の特性は実際の物質拡散現象をよく説明でき、有明海の流況特性と海底底質粒径分布、濁り分布などの環境特性を定性的に評価出来ることが確認された。また、澪の形成や干潟の成長など底泥の移動を調べる数値計算手法、水質変動の数値計算及び3次元流動解析の大枠を作成した。 飛来塩分量の現地調査とともに海塩粒子の沈降、降雨の影響、防風ネット(防風林)を考慮した数値計算モデルを考案し、飛来塩分特性を気象条件・地形特性と関連して検討した。また、地形、風向などの空間的変動の要素を考慮出来るように3次元解析手法の大枠を作成した。
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