研究概要 |
本研究は,従来までの数MHz域から、500〜50kHzの低周波強磁界を有効に用いて、低周波電力をプラズマ陽光柱内深くに注入し,その高温領域を拡大化し、安定、定常に大口径、大容量誘導熱プラズマを発生させようとするものである。そのための誘導プラズマ炉を設計製作し、連続運転のための電気的、熱的問題を基本的視点から解決する。さらに、試作したプラズマを用いて具体的に巨大クラスターすなわちフラーレンの生成を試み、このプロセシングの高速性、均一性を検証することを第2の目的とする。本平成8年度で得られた主要な結果を以下に要約する。 1)低周波プラズマ炉の設計 この種の無電極,磁気結合方式の高周波プラズマ炉は,電源,マッチング回路,誘導コイルを含む電力システムである。周波数500および50kHzにおいて、このシステムにおけるパワーの流れを計算機解析した。低周波コイル形状を大口径100mmとした場合、所要のプラズマ電力は、周波数500kHzで約30kWおよび周波数50kHzで約150kWが必要であることが明らかとなった。 2)He、CO2誘導プラズマの発生実験 上記と平行して、Arを用いて大口径誘導熱プラズマの発生基礎実験も行い、50kHzおよび1MHzの両低周波域でプラズマの安定発生を確認できた。これらプラズマの到達温度はいずれも1万度を越す超高温となっていることが分光測定からわかり、高速反応性を確認した。また、最終目的である巨大クラスター生成の予備的実験として、特にフラーレン合成に適しているといわれるHeおよびCO2ガス雰囲気中での誘導プラズマの安定発生を試み、初めてこの種の誘導プラズマの発生に成功した。これにより、巨大クラスター生成のための反応プラズマ源の問題が基本的に解決され、次年度に向け有効な基礎固めができたと考えている。
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