研究概要 |
平成9年度は,(1)非線形運動方程式を用いた縦不安定現象シミュレーションプログラムの開発,(2)縦不安定現象の発生メカニズムの解明,(3)滑走型高速艇における発進時の縦不安定現象の実験的調査,(4)滑走型高速船の進路不安定現象の発生メカニズムの実験的調査,(5)2年間の研究成果のまとめ,を行った。以下のその概要を示す。 (1)昨年度に実施した流体力計測実験で得られた流体力データを用いて,非線形運動方程式を時間領域で解くシミュレーションプログラムの開発を行った。その結果,本手法によって,縦不安定現象の発生速度ならびにその運動を実用上十分な精度で推定できることを示した。 (2)昨年度、縦不安定現象は上下揺れと縦揺れの連成運動方程式における連成復原力の符号が異符号となることで発生する自励振動である可能性を指摘した。前述のプログラムを用いて,この可能性を検証するとともに,縦不安定現象の抑制には減衰力を増大させることが効果的であること,そのエネルギーの供給源が推進力であることを示した。 (3)加速発進時の縦不安定現象の計測を行い、その運動の特徴を調査した。 (4)滑走型高速船における進路不安定現象の発生メカニズム解明の基礎研究として,斜航船体に働く定常流体力の計測を行った。その結果,斜航時に横復原力が減少し船体が大きく傾斜する可能性があること,斜航時の船体姿勢が変化するとその回頭特性が大きく変化する可能性があることなどが明らかとなった。 (5)最後に,2年間にわたる本研究の成果を報告書にまとめた。
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