研究課題/領域番号 |
08556001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三上 哲夫 北海道大学, 農学部, 教授 (50133715)
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研究分担者 |
小池 孝良 北海道大学, 農学部, 教授 (10270919)
前川 雅彦 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (00142703)
池口 正二郎 ホクレン農業総合研究所, 植物工学科, 副専門研究員
久保 友彦 北海道大学, 農学部, 助手 (40261333)
佐野 芳雄 北海道大学, 農学部, 教授 (70109528)
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キーワード | テンサイ / Beta maritima / ミトコンドリアゲノム / マスターサークル / サブゲノム分子 / ゲノム再編成 / モザイク構造 / diagnosticプローブ系 |
研究概要 |
先に開発したdiagnosticプローブ系を用いた解析を通じて、テンサイの祖先型野生種Beta maritimaが多様なミトコンドリアゲノム構造を有し、しかも新しいタイプの細胞質雄性不稔の給源として有望であることが判明した。今年度は、既知の3種のミトコンドリアゲノム(正常型、S雄性不稔型、S-3雄性不稔型)配列をモザイク状に併せ持ち、かつ花粉不稔性を示すB.maritiomaの1系統#56777を供試し、ミトコンドリアゲノムの物理地回を作成した。得られた結果は、次の通りである。 (1) 系統#56777のミトコンドリアゲノムは571.7kbpの環状2本鎖分子より成るマスターサークルとして表される。このマスターサークルには200kbpの直列反復配列が含まれている。この長い反復を回避するため、248.8kbpと322.9kbpの2種のサブゲノム分子を想定することもできる。 (2) #56777のミトコンドリアゲノムと既知のゲノムの構造を比較した。その結果、再編成の著しい領域は4箇所に限定され、#56777ゲノムは正常型ゲノムに最も類似していることが明らかとなった。 (3) S型やS-3型ゲノムの固有配列の一部が#56777ゲノム中に散在しており、#56777ゲノムがモザイク構造を有することがマッピング解析を通じて証明された。 (4) #56777ゲノムのみに固有で、正常型やS型、S-3型ゲノムに見出されないような配列はほとんど見当たらなかった。従って、#56777型ゲノムはテンサイの正常型やS型、S-3型雄性不稔ミトコンドリアゲノムの共通祖先型に近い構造を有するものと考えられる。 (5) #56777ゲノムのより詳細な構造解析を通して、テンサイにおける細胞質雄性不稔の起源が明らかになるものと期待される。
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