研究概要 |
本年度(平成8年度)は,9大学11演習林において,ミズナラ及びコナラ成木のフェノロジー調査,観察木近傍における温度環境調査を開始し、さらに産地試験のための種子の採取と各研究担当者への分配を行い,これによる産地試験地の造成を行った.具体的な内容は以下の通りである. 1.観察木の選定:北大(雨竜,和歌山),東大(北海道,秩父),山形大,筑波大,農工大,静岡大,京大,鳥取大,九大の各演習林において,フェノロジーを観察するミズナラあるいはコナラの成木3個体以上を選定し,胸高直径,樹高を測定した. 2.フェノロジーの観察:平成5〜7年度科研・試験研究(A)「森林地域における酸性雨等地球環境モニタリング体制の確立」により得られている成果「観測調査法の再提案・森林樹木のフェノロジー」に基づき,7〜8月からフェノロジーの観察を開始した.各観察木下に,落葉,落花,落果量等を計測するためのリター・トラップ,及び温度環境を計測するための温度記録計の設置を行った.観察とリター回収は1〜2回/週の頻度で行い,気温は1時間ごとの計測を行った.なお,九大では天空写真による観測を試行的に開始した. 3.種子の採取と分配-産地試験地の造成-:観察木から種子(ドングリ)を採取し,産地試験造成に供するため,各担当者への分配を行った.本年度は,北大(和歌山),山形大,筑波大,東大(秩父),京大,鳥取大において,充実した種子が採取できたが,他の演習林では凶作のため採取・分配が不可能であった.各演習林において,分配された種子を播種し,産地試験地の造成を行い,発芽以降のフェノロジー調査のための準備を完成させた.
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