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1997 年度 実績報告書

脳血管障害性痴呆症の動物モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 08557005
研究機関九州大学

研究代表者

堀 信顕  九州大学, 歯学部, 助教授 (60037520)

キーワード脳切片 / 錐体細胞 / 細胞死 / シファーイエロ- / 電気生理 / 虚血 / NMDA / ATP
研究概要

高齢化社会の進行に伴い加令に付随する色々の疾患が現れる。其の中でも人間性の喪失、個人の尊厳を損なう様な老人性痴呆は深刻な社会問題である。若年性と老人性痴呆の共通な脳組織学的所見の一つは、神経細胞の脱落である。今研究では神経細胞死が痴呆症発現に大きく関与すると考え、脳神経細胞がどのようなエピソードによってその生理的機能を失い、形態学的崩壊、即ち神経細胞死に至るかを詳細に把握することは、老人性痴呆症の発現の機構の解明、ひいてはその発現を防止、治癒に大きな役割を果たすものと考え、実験を遂行した。ラットから海馬を含む脳切片作製した後に虚血様負荷を行ないつつ電気的現象を錐体細胞内、錐体細胞層から記録し、また顕微鏡下で組織学的変化を観察した。その結果以下の事実が判明した。(1)CA1の錐体細胞層から電場電位を記録しつつ、酸素、グルコース欠如リンガー(虚血様処置)を還流すると、虚血様処置開始後、5〜7分内にシャファー側枝刺激によるシナプス電位が消失した後に、刺激に応じる一過性の第一次電位変化、次に細胞内記録と細胞外に設置した記録電極に同時に第二次の電位変化が観察された。(2)蛍光を出すルシファーイエロ-をCA1錐体細胞に注入し蛍光顕微鏡下で虚血様処置を行なうと、第一次の電気変化の生じる時間に、樹状突起に水泡は発現し、第二次の電気変化の時期に細胞体に形態変化が観察された。この水泡の発生は高濃度のマグネシュウム、低濃度のカルシュウム、NMDA受容器の拮抗薬で抑制され、NMDAを還流することによっても水胞が形成される事から脳出血、心停止による脳虚血はNMDA受容器を介して神経細胞死が生じることが判明した。その細胞死の過程はつぎの様に推察される。中枢神経細胞に酸素とグルコース停止されると、ATPの枯渇が始まり、Na-Kポンプが阻害され膜は脱分極する。この脱分極は神経細胞前繊維からの神経伝達物質特にアミノ酸の異常放出を起こす。放出されたアミノ酸は、脱分極によって活性がされたNMDA受容器がCa、Naの細胞内流入をもたらし、細胞内浸透圧か上昇する。その結果、水分の流入が生じ細胞が膨潤し、細胞崩壊が生じる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Fujise et al.: "Distribution of calretinin immunoreactivity in the mouse dentate gyrus:Mossy cell,with special reference to their dorsoventral difference in calretinin immunoreactivity." Neuroscience. 82. 181-200 (1998)

  • [文献書誌] Boldyrev et al.: "Biochemical and physiological evidence that carnosine is an endogenos neuroprotector against free radicals." Cellular & Molecular Neurobiolgy. 17. 259-271 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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