研究概要 |
〈合成〉容易に入手可能(+)-または(-)-エピクロロヒドリンを出発原料として、多官能性の光学活性シクロプロパン誘導体を高い光学純度で簡便に合成できる新規な方法を開発した。この方法を用いて、目的の様々な立体構造を有するミルナシプラン配座制限誘導体を合成することができた。 〈薬理評価及び作用基序解析〉合成した化合物を以下のようなin vitro系での活性検討を行なった。a)ラット海馬NMDA受容体における【^3H】MK-801をリガンドとする結合阻害実験による、同受容体に対する親和性; b)ラット大脳皮質セロトニントランスポーターに対する【^3H】パロキセチンをリガンドとする結合阻害実験によるセロトニン再取り込み阻害活性;C)ラット脳グルタミン酸受容体を発現させたアフリカツメガエル卵母細胞系における、NMDA受容体阻害効果。その結果、(1S,2R,2′S)-1-pheyl-2-(1-aminopropyl)-N,N- diethylcyclopropanccarboxamindcs(PPDC)が強力かつ特異的なNMDA受容体阻害作用を有することを見い出した。e)PPDCは、NMDA受容体チャネルブロッカーとして作用する従来にないタイプの拮抗剤であることを確認した。f)培養神経細胞系で、NMDA誘発細胞死をPPDCが顕著に抑制することを確認した。
|