研究課題/領域番号 |
08558046
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
河出 清 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70023215)
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研究分担者 |
柴田 理尋 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (30262885)
山本 洋 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (80023331)
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キーワード | 極限領域核 / 不安定核 / 原子質量 / β崩壊エネルギー / Ge検出器 / LEPS / 応答関数 / 単色電子 / 陽電子 |
研究概要 |
本研究の目的は、10MeV程度のβ崩壊エネルギーを持つ極限領域核の質量を決定することにある。その検出器として、β線の後方散乱を対向する2台のHPGe検出器で互いに捕捉しそのエネルギー和を計数する加算型検出器(サム検出器)を試作し、その効率及び特性を調べ解析方法を開発した。その結果、本検出器の有効性を実証することが出来、さらに高効率検出器の設計に対する指針を得た。具体的には以下のことを行った。 1. Ge検出器(LEPS,ORTEC製)を結晶サイズを36mm^Φ〜13mm^t、Be窓(50μm^t)とし、Be窓と結晶の距離を7mmと出来るだけ近づけて作成した。 2. HPGe検出器の単色(陽)電子に対する9MeVまでの応答関数を、β^-/β^+線源(^<90>Sr/Y、^<38>Cl、^<68>Ge/Ga、^<34>Cl)及び電子線加速器(KUR-LINAC)による電子対生成とβ線スペクトロメーターを利用して選び出し検出器に打ち込んで測定した。サム検出器の応答関数は実験的には^<137>Csの内部転換電子625keVを用い、それ以外はEGS4によるシミュレーションを利用した。応答関数における全エネルギー吸収、散乱及び制動輻射の各成分のエネルギー依存性を決定した。 3. 実験と計算の相違点を確認した上で、標準的なβ線(^<32>P(1.7MeV)、^<42>K(3.5MeV)、^<38>Cl(4.9MeV))を京大原子炉で照射作成し測定して効率及び解析方法を検討した。本検出器の幾何学的条件 では3.5MeV(^<42>K)の崩壊エネルギーに対し約20%の効率であった。この結果は計算とほぼ一致した。本検出器では構造上(結晶間の距離)これが限界であるが、計算結果を考慮すると、結晶の大きいBe窓なし検出器を用いると1桁以上の効率にすることが可能である。また、大きいBGO結晶を用いると制動輻射も含めて全吸収の検出器が可能である。
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