研究課題
基盤研究(A)
我々の身の回りの環境化学物質や生活関連化学物質は年々増加している。これらは種々のスクリーニング試験や毒性試験を経てリスク評価が行われている。しかしながら、生殖毒性試験については有用なスクリーニング試験が開発されておらず問題となっている現状である。マウス胚幹細胞は一つ一つの細胞がマウスの一個体に対応する性質を持っている。そこで本研究ではこの胚幹細胞を用いて、鋭敏でかつ短期間に試験の可能な包括的初期発生障害検出系の開発を行う。本年度は、1.マウス胚幹細胞の培養条件について基礎的な検討を実施し、培養条件の確立を行った。2.胚幹細胞に遺伝子突然変異検出用の導入ベクターを組み込むため、以下の予備的実験を行った。すなわち、マウスL cellに真核細胞で発現するネオマイシン耐性遺伝子を有するラムダファージ(Strategene社;ZAP Express TM)をリン酸カルシウム法にて導入し、細胞を24-48時間培養後、G418(neomycin)を添加した培地で培養した。10cm径のプレートに撒き、約2週間後に計70クローンを得た。また、胚幹細胞に遺伝子導入するためエレクトロポレーション用セルに細胞液を移し、バイオライド社のジーンパルサーを用い、導入条件の設定を行った。次年度は胚幹細胞に遺伝子突然変異検出用の導入ベクターを組み込むとともに、胚幹細胞に対する生殖発生障害性化学物質の影響を形態学的および生化学的に検討する予定である。
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