研究概要 |
熊木県人吉市や埼玉県川越市などによる,市民発議のまちづくりや観光開発について,震災復興の新長田駅北区画整理事業地区住民の商業部会「アジア文化交流タウン」検討懇談会で資料提供した。 また,同地区のアジアセミナー(住民相互のまちづくり勉強会)において,アジア的豊かさの意味について提案した。二つの資料提供・提案を通じて,本年は参加型調査をすすめてきた。 その成果は「新長田駅北地区の商業活性化の方策〜アジアギャラリー構想(案)〜について」として住民提案のなかに盛り込まれ,その提案に基づいて,3月にアジアギャラリー・バイロットショップの着工が体格化した。 従来の都市民俗学の立場は,町で起きることを観察し,都市の意味を人々の生活の有り様から考えることであった。しかし,今回,民俗学的な意味での都市や,かつての下町における内なるコレクティブタウンの生活を「内なるアジア」と定義し,住民に提案するなかで,具体的な施設建設に結びついた。 本年の成果は,ある意味では実験民俗学の第一歩の試みがなされたことではないかと思う。実際の都市生活の提案に結びつく応用民俗学の始まりとなるのではなかろうか。
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