研究概要 |
従来の外国籍住民の存在を生かしたまちづくりといえば.マイノリティーの権利の保障,獲得闘争と,外国的特色を観光や商売り利用することが中心であった。東京都新宿区や群馬県大泉町,静岡県浜松市などは,外国籍住民対策のなかから,彼らを住民と認めるまちづくりを展開している。 これに対して,神戸市長田区では,外国籍住民の割合が圧倒的に少なく,多くの日本人地主には,アジアタウンに対する誤解が根強くある。 そこで,神戸アジアタウンでは,以下のような枠組みで,まちづくりをすることにした 本研究は,その枠組みをワークショップのなかで練り上げる役割を果してきた。 我々の従来の都市生活は,町中に応接や朝食,調理,医療,遊び,子育て,緑,風呂などの機能を共同で分散させてきたコレクティブタウンの生活をしてきた。高度経済成長以後,我が国の都市生活は個別分断消費の方向を加速度的に歩んできたが,核家族や子育て,定年離婚など,その矛盾が今日露呈している。 こうした分散機能型都市(いわば初期近代)は,アジア都市の特色でもある。「そもそも,本来,我々はアジアであったのだ」という,住民の気づきからまちづくりの枠組みを再構築することができた。本研究の意義は,実際のアジアタウンのまちづくりの枠組み作りに貢献し,その理念を発見したことにある。
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