研究概要 |
最近10年余の間に出版された、唐代貴族制研究にとり必須の史料である墓誌拓本写真版10数種(総点数1万6千余、実総数5,500余)を整理・編年化して、基本データとし、更に既存の唐墓誌をこれに加えることによって、現存唐代墓誌の全貌を容易に把握しうる、『現存唐代墓誌総合目録』を作成することを研究目的として、研究1年目の本年度は以下の3点の成果をあげた。(1)、唐墓誌(近刊)5,500余点のデータを編年・整理し、そのための目録基本台帳をほぼ完成した。(2)、更にこの台帳データを保存するためにコンピューター(フロッピィ)に入力し、そのために被写費・データ入力費を設けて使用した。(3)、更に上記データの補充として、中国・台湾に収蔵の貴重な唐墓誌文献-例えば、北京図書館所蔵の羅振玉(撰)『芒洛冢墓遺文五編』(稿本)-を調査・収集し、その内容について学会で発表した。又、国内の諸研究機関(天理図書館、京都大学人文研東方部、など)の墓誌文献を調査し、そのために旅費を使用した。以上の如く、『総合目録』作成のための基礎作業は、本年度でほぼ達成することができた。そして又、基礎データがまとまったのみならず、その事によって、現存唐代墓誌の全体像がほぼ完全に浮かび上がってきた。かかるデータとその全体像についての知見を、来年度は更に補充・補訂し、研究成果報告書の中に盛り込む予定である。
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