8年度は、長崎・福岡・東京・大阪などの児童相談所、家庭相談室、養護施設、児童虐待防止センターなどの諸児童福祉機関について、児童保護のための対応、措置の実態、その際の親権との衝突およびその調整の実際などについて面接調査を実施した。そこで判明したことの主な概略は以下の通りである。(1)一時保護、施設入所など児童の身柄保護が必要となる場合にも、各機関は、ソーシャルワーク的手法を重視し、極力親権者等の同意を得る努力をしていること、(2)親権者の同意は親子関係の修復や親との信頼関係の維持のためには重要であること、(3)しかし、親権者が同意しない場合やたとえ身柄保護をなしても親権者の意思で簡単に子を引き取ることができることなど、子の保護のための処置と親権が対立する事例がかなり存在すること、(4)最近は、司法的手段の活用により、強制的な親子分離・親権制限をなす機運が出てきていることなどである。 9年度には、調査の継続、和洋文献の分析をなし、本研究のまとめをなし、その成果を公表する予定。
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